雨の日は、気持ちもどんよりする。でも、お気に入りの傘なら少し気持ちがあがるのは私だけだろうか。54系統の17時35分に駅に着くバスの中に、ついこの間、一目惚れして買ったブランドの傘を置き忘れてしまったのだ。新しいときめく傘にはなかなか出会えず、無くしてもいいショボい傘を今は使っている。すっかり 傘忘れの 傷 も癒えた頃、旦那が、女性物の傘を持ち帰ってきた。電車の中の忘れ物だと思うが、雨が降りだしたから、持って来たというのだ。耳を疑った。「持って来ちゃ ダメ なやつー!」「信じられない!普通もってこないよ!」と、旦那を叱った。さぞ忘れ主さんは、ショックだろう。と思った。持って来てしまって、ごめんなさいね。しかし、よく見ると私の忘れた傘よりワンランク上のブランド傘ではないか。いや待てよ。これは、何かのお恵みなのか?無くした傘の代わりにどうぞ使ってください。って神が言ってるの? 頭の中が、ぐるぐるしだした。ワンランク上の傘は、しばらくの間我が家の傘立てに置いていたが、初めてその傘をさして出かけることにした。本当なら、雨の日は外にでたくないのだが、今日は、ダンナの誕生日で、大好きなチーズケーキを買いに行かなければならないのだ。丁度、駅前のデパートで今話題のチーズケーキが数量限定で販売されるっていうから、これをゲットする為には、デパートの開店前には並ばないと。急いで出かけた。「あの、その傘私の。」後ろから声が聞こえた。頭の中がぐるぐるしだした。恐る恐る振り返る。誰もいなかった。なんだ、空耳?
努力した甲斐もあり、無事にチーズケーキをゲット。ついでにいつもよりちょっとだけお高いワインも買った。バスの出発時間、少し急げば間に合うかも。と思った瞬間、「あの、その傘私の」と聞こえた気がしたが、足を止める事もなく急いでバスに乗り込んだ。家に着く頃には雨は小降りになっていた。玄関先で傘をマジマジとみた。やっぱ、私の好みじゃない。と思った。
夕方、チャイムが鳴った。インターホン越しに、女性が立っていた。勧誘か? 少し黙っていると、「井上さんの奥様ですか?」「傘の持ち主です。」と言うではありませんか。頭の中がぐるぐるしだした。とりあえず、ドアを開けた。どうやら、傘にAir tagがつけてあったらしく、家を突き止めたという。頭の中のぐるぐるは続く。私は、とりあえず傘を差し出して、「長いことお借りして申し訳ありません」と言った。女性は、「傘はいりません。ご主人様をください。」と言って頭を下げた。私の頭の中は、ぐるぐるMAXになった。END
「その傘」のオチを変えてみました。お題に参加させてくださり、ありがとうございます。
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번역: Gemma 3(.44) 초벌 + 교정 검수
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