# 95歳と76歳が挑んだ「左手だけの世界」の謎――ノーベル化学賞2026、カガン氏と硤合憲三（そあい けんそう）氏

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> 작성일: 2026-10-09T12:24:05.343Z

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2026/10/7 18時45分、ストックホルムから化学賞の発表がありました。並んだ名前を見て、思わず背筋が伸びました。フランスのアンリ・カガン氏と、日本の硤合憲三氏の二人です。

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授賞理由は、不斉有機合成における非線形効果と自己触媒の発見。王立科学アカデミーは、生命の化学がなぜ片方の手だけでできているのか、という100年以上続いた謎に、二人が解を示したと説明しています。

カガン氏は1930年生まれの95歳で、パリ・シュッド大学の名誉教授。硤合氏は1950年に広島で生まれ、いまは東京理科大学の名誉教授です。賞金の1200万スウェーデンクローナは、二人で等分されます。

## 同じ形なのに、重ならない

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両手を目の前に並べてみてください。左右は同じ形なのに、どう回しても重なりません。分子にも、この関係を持つものがあります。鏡に映した姿が元と重ならない分子で、「キラル」と呼ばれる性質です。

生物の体では、タンパク質の材料になるアミノ酸はほぼ左手型だけが使われています。核酸に含まれるリボースは右手型だけです。この偏りを、ギリシャ語の「同じ」と「手」から「ホモキラル」と呼びます。

ところが、生物のいない試験管で作ると、左右は必ず同じ量ずつできてしまいます。しかも左右を混ぜると、タンパク質も核酸も正しい形を取れないと考えられています。なぜ片方だけなのか。ブルーバックスの連載は、これを生命の起源における「最大の謎」と呼んでいました。

## 少数派が静かに退場していく

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カガン氏は、右手型と左手型を作り分ける「不斉触媒」の草分けです。左右そろった形の配位子DIOPを世に出した人でもあります。ところが2001年、不斉触媒の仕事に贈られたノーベル化学賞は、野依良治氏ら3人のもとへ行きました。カガン氏は枠の外に残り、当時は議論も起きたといいます。

そのカガン氏が1986年に見つけたのが、「非線形効果」と呼ばれる現象です。原料の偏りと、結果の偏りが比例しない、という話です。公式の説明では、それまで考えられていた以上に、片方の鏡像体を多く作れる新しい方法でした。

たとえるなら、ダンスパーティーです。左手型と右手型の分子が二人一組で踊ります。典型的な例では、左右でペアを組んだ二人は壁際で休んでしまい、同じ手同士の組だけが踊り続けます。少数派は多数派の相手を連れて退場するので、会場に残るのは多数派ばかりです。結果として、原料以上に偏った製品ができあがります。

## 自分のコピーを作る分子

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硤合氏が踏み出した次の一歩は、さらに奇妙な反応でした。1995年の論文で、公式発表の言葉を借りれば、史上初めて「ホモキラルになりうる」化学反応を設計したのです。ピリミジンという環を持つアルデヒドにジイソプロピル亜鉛を加えると、アルコールができます。このアルコールが、自分自身を作る反応の触媒になります。

出来上がったコピーが、そのまま次のコピー機になる、と考えると分かりやすいでしょう。最初にわずかな左右の偏りがあれば、回すたびに偏りは雪だるま式に膨らみます。受賞者を紹介した解説によると、この物質は約63万倍に増え、偏りは99.5%以上にまで達したそうです。

https://www.toray-sf.or.jp/awards/technical/pdf/16-571sogo.pdf

そして2003年。硤合氏は、最初に偏りを与えなくても、ゆらぎだけで片方の鏡像体だけが生まれる反応を示しました。公式発表は、生命そのものを除けば、誰も成し遂げていなかった芸当だと述べています。鉛筆を指先に立てて手を離すと、どちらかに倒れる。その「どちらか」を、分子が自分で選んでしまうのです。

実は、この反応がなぜ働くのか、仕組みは長く論争が続いてきました。2020年にはデンマークのグループとトラップのグループが、別々の説明を提案しています。カガン氏らの非線形効果が、議論の補助線になっているそうです。

![画像](https://assets.st-note.com/img/1791367823-7BYTiF3JOazNo6hMU8XHsrb1.png?width=1200)

https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2022/cs/d1cs01038g

## 生命の「窓」の中で

先日、生命が生まれやすかった時期が、43億3000万年前ごろの7000万年ほどに絞れそうだという研究について書きました。

あの狭い窓の中で、材料の分子が片方に偏る必要があったとしたら、その偏りはどこから来たのでしょうか。

硤合反応は、原始地球で起きた反応ではありません。生命の化学そのものでもありません。それでも、ごくわずかな偏りが自己増殖で一気に増幅される仕組みが、化学の世界に確かに存在すると示した意味は小さくないと思います。

## 薬づくりを変えた、根っこの発見

![画像](https://assets.st-note.com/img/1791367836-VBRS17DfaehPgYIl4Cxji82L.png?width=1200)

薬の世界でも、左右の違いは切実です。同じ分子でも、左手型と右手型で体への効き方が変わることがあるからです。公式発表も、お二人の発見が医薬品を設計する化学者にとって決定的だったと述べています。

片方だけを狙って作る技術は、今や医薬品づくりの土台です。お二人の仕事は、そのずっと手前にある「偏りはどう生まれ、どう育つのか」という根っこの問いに答えてきました。

## 25年越しの名前

2001年に枠の外にいた人が、25年たって95歳でストックホルムから名を呼ばれる。そう考えると、少し胸が熱くなります。

恥ずかしながら、ノーベル賞は新しいものを作った人に贈られるものだと思い込んでいました。今回は、目に見えない左右の偏りという、「なぜ」の側に光が当たりました。

とはいえ、左手だけの世界は、まだ完全には説明されていません。最初の一滴の偏りは、いったいどこから来たのか。その問いは、受賞の翌朝も、変わらずそこにあります。

![画像](https://assets.st-note.com/img/1791367842-P9UMZuSb7wp5CAQTVcsfFvdh.png?width=1200)

## 参考情報

〇Press release: Nobel Prize in Chemistry 2026（2026年10月7日）

〇そして「生命2.0」への道（後編）体に刻まれた宇宙の非対称性（2019年2月2日）

〇Henri B. Kagan - Wikipedia（2026年10月7日閲覧）

〇Soai reaction - Wikipedia（2026年10月7日閲覧）

〇研究業績：不斉自己触媒反応の発見とホモキラリティーの起源の研究（第57回東レ科学技術賞、2016年）

https://www.toray-sf.or.jp/awards/technical/pdf/16-571sogo.pdf

〇One Soai reaction, two mechanisms?（2022年）

https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2022/cs/d1cs01038g

〇生命が生まれる「窓」は、たった7000万年しか開いていなかった――43億3000万年前、地球が迎えた奇跡のタイミング（2026年9月23日）

**출처:** [note 원문](https://note.com/kojifukuoka/n/n794b55d529bb)

*번역: Gemma 3(.44) 초벌 + 교정 검수*

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